嚥下の基礎知識
嚥下のメカニズムから
嚥下食に求められる物性、
とろみやミキサー食の作り方まで、
嚥下の基礎をわかりやすく解説します。
目次
普段、何気なく食べているものの中には、実は飲み込みにくいものがあります。
どんな食品が飲み込みにくいのでしょうか?
飲み込みにくい食品の例
水分
水、お茶、ジュースなど
ベタつくもの・
はりつきやすいもの
餅、焼き海苔、わかめなど
パサパサしたもの
焼魚、ゆで卵、高野豆腐、パンなど
まとまりにくいもの
かまぼこ、こんにゃく、
ピーナッツなど
固いもの・繊維質のもの
たこ、いか、ごぼう、れんこんなど
飲み込みにくい食品を飲み込みやすい食形態に調整した食事が“嚥下食”であり、次のような物性のものが飲み込みやすいと言われています。
飲み込みやすい嚥下食の条件
まとまりやすい
べたつかない
変形しやすい
物性が均一である

凝集性(=まとまりやすさ)が低いと、口の中でばらけてしまい、まとめにくいため、誤嚥しやすくなります。

付着性(=べたつき)が高いと、口やのどに飲食物が残ってしまいます。これを“
では、どうやって飲み込みやすい物性に調整したら良いのでしょうか?
飲み込みやすくするためには、食べものや飲みものに「とろみをつける」「ゼリー状にする」などの方法があります。
病院や介護施設などでは、とろみをつける“とろみ材”やゼリー状にする“ゲル化材”が使用されています。
とろみをつける
ゼリー状にする
嚥下食作りには、専用のとろみ材やゲル化材を使用しましょう!
病院や介護施設、在宅医療現場では、専用のとろみ材やゲル化材を用い、食べる方の嚥下機能に応じて、食事形態を調整しています。その基準となっているのが「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021」(以下、学会分類2021)です。学会分類2021では、とろみの分類と食事の分類が示されています。
学会分類2021(とろみ)は、薄いとろみ、中間のとろみ、濃いとろみの3段階に分かれています。中間のとろみは、脳卒中後の嚥下障害などでまず試されるとろみの程度を想定しています。薄いとろみは、中間のとろみほどの粘度がなくても誤嚥しないより軽度の嚥下障害を対象にしています。濃いとろみは、重度の嚥下障害が対象です。この3段階に該当しない「薄すぎるとろみ」や「濃すぎるとろみ」は推奨できないとされています。
■測定条件
※LST値と粘度は完全には相関しない。
※『嚥下調整食分類2021(とろみ)早見表』を一部改変したものです。表の理解にあたっては、『嚥下調整食分類2021』の本文を必ずご参照ください。
学会分類2021(食事)は、下の図のようにコード0からコード4の5段階に分かれており、それぞれのコードに適した形態や必要とされる咀しゃく能力、主食の提供方法などが示されています。
※『嚥下調整食分類2021(食事)早見表』を一部改変したものです。表の理解にあたっては『嚥下調整食分類2021』の本文を必ずご参照ください。
スライス状にすくうことで、そのまま飲み込むことができる適切な食塊状となり、そのまま飲み込むことで
スライス法
ゼリーを半分に切ります
スプーンを5mmほどずらし、まっすぐ差し込みます
そのままゼリーをすくい取ります
写真のように料理を細かく刻んだ“きざみ食”は、飲み込みやすいと考える方は多いのではないでしょうか?

実は・・・きざみ食は嚥下障害の方にはニュートリーが実施した医療・介護従事者へのアンケートでは、「バラけてしまい食べにくい」「誤嚥が心配」など、約8割の方が口の中でまとめにくいきざみ食にお悩みを感じています。
きざみ食についてのお悩み

【調査概要】調査名:学会分類(食事)を徹底解説セミナー セミナー後アンケート/調査期間:2021年4月27日から2022年3月29日/対象:学会分類(食事)を徹底解説セミナー参加者/調査方法:WEB/回答数:729件/調査主体:ニュートリー株式会社
日本摂食嚥下リハビリテーション学会が作成した嚥下調整食分類2021では
これに該当しないものは、嚥下調整食として適切ではないと明記されています。

バラけやすいきざみ食はゲル化材を使ってまとまりのある嚥下食にしましょう!
学会分類に基づいて適切なとろみをつけるために、「とろみ材」を使います。
学会分類に基づいて適切な嚥下食を作るためには、「ゲル化材」を使います。
飲み物・汁物、酵素入りゲル化材を計量します。
【分量】
鍋に、飲み物・汁物と酵素入りゲル化材を入れ、かき混ぜながらひと煮立ちさせます。

冷めないうちに器に流し込み、ゼリー状に固まったら完成です。
ゼリーは70℃以下になると固まり始めます。
お粥、酵素入りゲル化材を計量します。
【分量】
【分量】《ごはんから作る場合》
ミキサーに70℃以上のお粥、酵素入りゲル化材を入れペースト状にします。
ミキサーが無い場合は…

電動のハンドミキサーで代用も。
器に移して、70℃程度で固まり始めます(冷蔵庫等での冷却の必要はありません)。
【分量】
| いも | 肉・魚 | 野菜 | 野菜(繊維質) | |
|---|---|---|---|---|
| 食材 | 200g | 240g | 240g | 240g |
| だし汁 | 100g | 180g | 85g | 150g |
| 酵素入りゲル化材 | 小さじ1(1g) | 小さじ2(2g) | 小さじ2(2g) | 小さじ2(2g) |
ミキサーに加熱調理した固形状の食材と分量のだし汁、酵素入りゲル化材を入れ、ペースト状にします。
ミキサーが無い場合は…

電動のハンドミキサーやすり鉢などで代用も。
2を鍋に入れ、火にかけてかき混ぜながらひと煮立ちさせます。
冷めないうちにラップを敷いたバットに流し込み、ゼリー状に固まったら完成です。ゼリーは70℃以下になると固まり始めます。
ゲル化材を使った嚥下食は、加熱が不足するとうまく固まらないことがあります。使用するゲル化材の加熱温度を確認し、十分に加熱してください!
とろみ材やゲル化材を使って、見た目にも美味しい嚥下食を作ってみましょう!