嚥下の基礎知識
嚥下のメカニズムから
嚥下食に求められる物性、
とろみやミキサー食の作り方まで、
嚥下の基礎をわかりやすく解説します。
嚥下障害の方にとって、嚥下食の「かたさ」「付着性(べたつき)」「凝集性(まとまりやすさ)」などの“物性”は、飲み込みやすさに直結する重要な要素です。しかし、どれくらいのかたさが適しているのか、どれくらいべたつきがあると飲み込みにくいのか、物性測定機器がないと適切な物性かどうか判断するのは難しく、仕上がりの物性に不安を感じている方が多いのではないでしょうか?
嚥下食の国際基準であるIDDSI(国際嚥下食標準化構想)では、フォークやスプーンを使って嚥下食の物性を簡単に評価できる方法が示されています。その評価方法とポイントを詳しく見ていきましょう。
準備するもの
・金属製のディナーフォーク
・ティースプーン
・はかり(1kg以上計測可能なもの)
強い力を加えたり、フォークを前後したりせず、側面で押すだけで切れるようなイメージ。
※成人対象の場合。小児の場合は8mm×8mm。
【該当しない食品の例】
圧をかけてもつぶれず、フォークを離すとかたちが元に戻ってしまう。
食品が完全につぶれるまでの最大値をチェックします。
スプーンに食品の膜が残っていたとしても
膜を通してスプーンが見える程度の薄さであればよい。
【適切でない食品の例】
食品がスプーンから落ちない、またはスプーンを強く振らないと落ちない。
(指と手首だけを使ってやさしく振って落ちる程度であればよい)
嚥下食における「付着性」と「凝集性」の重要性
どんなにやわらかくても、べたつきが強くまとまりのない食品は
嚥下食として適切とはいえません。
「ピーナッツバター」を思い浮かべてみてください。
やわらかくはありますが、べたついて口の中などに残りやすく、
飲み込むのに舌の力を要するなど、食べにくさがイメージできると思います。
IDDSI(国際嚥下食標準化構想)は、あらゆる年齢層、介護環境、文化における嚥下障害者に対して使用できるように考案された嚥下食の世界的な基準です。
この基準は、食品の物性や飲料のとろみを表す共通言語として活用できます。
右図のように、段階はレベル0~7に分類されます。
「食品」と「飲料」は別々のトライアングルで構成されており、「食品」はレベル7の常食からレベル3の液状食品、「飲料」はレベル4の濃いとろみの飲料からレベル0の液体と定義されています。
物性評価方法は下表の通りです。
レベル5 からレベル7の“かたさ”については、フォークを使った3つの方法で評価することができます。
レベル7の容易にかめる(食品)では、フォーク切りテストとフォーク押しテストの2つでかたさを評価します。
レベル5では、かたさの評価に加えて、スプーン傾けテストにより“付着性・凝集性”を評価する必要があります。
レベル5が嚥下調整食分類2021のコード3、レベル6がコード4に相当すると考えられます。
IDDSI の物性定義では、上記のほか「大きさ」「離水」「粘度」などについても定められています。
詳しくはJapan IDDSI Reference Group WEBサイトをご参照ください。https://www.iddsi.org/around-the-world/japan
物性評価方法をマスターして、
適切な物性の嚥下食を提供しましょう!
(参考資料)
中尾 真理ら.「IDDSI フレームワーク 詳細な定義 完成版 2.0 | 2019」
https://www.iddsi.org/images/Publications-Resources/DetailedDefnTestMethods/Japanese/v2detaileddefnjapanese22aug2024.pdf