JSDR2023「学びの嚥下カフェ」コラボ企画
摂食・嚥下に関わる専門職の方々へ役立つ情報を届けるために、第29回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会(JSDR2023)の特別企画として「学びの嚥下カフェ」が催されました。その企画に賛同したニュートリーが、自慢の嚥下食レシピを摂食嚥下の専門家であり「学びの嚥下カフェ」を主宰する上羽瑠美先生らに評価してもらい“おすすめレシピランキング”として発表。コメントと併せて、ご紹介します。
第29回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会(JSDR2023)
企画実行委員長
「学びの嚥下カフェ」主宰
医師
嚥下食の試食会には、上羽先生と摂食嚥下に携わる医師や言語聴覚士、管理栄養士や歯科衛生士など、総勢10名が参加。
そんな専門職の方々にニュートリーが提案したのは、熱湯に混ぜるだけでお粥ゼリーが作れる「そく粥つるり」を使ったアレンジメニュー。食欲そそる味付けの“たぬきごはん”、食べたいデザートNo.1のおもちスイーツから“桜もち・八つ橋・チョコレート大福”、お粥ゼリーの素から作れるの?!と摩訶不思議な“フレンチトースト”や市販のじゃがいもスナックを使った“ポテトサラダ”の計6品。ありきたりなレシピだけではつまらない!と試作を重ね、厳選した自慢のレシピです。
まずは、レシピの概要説明からスタート。「美味しそう!」「えっ、じゃが●●を使ってるの?」など、皆さん、アレンジレシピに興味深々。沸き立つ中、試食会に突入しました。物性・味・見た目・使いやすさの4項目について、項目ごとに5点満点で評価してもらいました。
物性面では、“フレンチトースト”が群を抜いての高評価。そく粥つるりにパン粉をブレンドして作っているので「少しざらつく感じがパンに近く、美味しく感じる」との意見に加え、表面の焦げ目に関しても「口の中に残らなかった」「焦げ目が重要!」との声が多くあがりました。
おもちスイーツの物性を評価する上で、皆さんが特に気にされていたのは“もちと中身の一体感”。その点で八つ橋の評価が高かった一方、チョコレート大福は「大福自体の物性は非常に良いが、チョコレートが口の中で分離するため、チョコレートを少しトロっとさせるか、ソースにすると良い」とのアドバイスがありました。
また、たぬきごはんの青のりやポテトサラダの野菜の粒が気になる場合、コード3くらいの対象であれば、とろみ茶やお茶ゼリーを併用すれば問題ないそう。レシピを再現して提供する際には参考に。
天かすと青のりの風味とめんつゆの甘じょっぱさがやみつきになり、ついつい食べ過ぎてしまう…、そんな“悪魔のおにぎり”を嚥下食で再現した“たぬきごはん”には、8割の方が5点満点をつけ美味しいと太鼓判。「甘いものが苦手な方に喜ばれそう」「普通の食べ物としても美味しい」と絶賛の嵐で、おかわりする方がいらっしゃるほど。
そして、今回、味とともにこだわったのは“香り”。桜もちには桜の葉の戻し汁を加え、八つ橋にはシナモンも。「桜の葉の香りと塩気が良い」「シナモンの香りがきいていて、かなり忠実に八つ橋が再現できている」と大好評で、“香り”の重要性を再認識させられました。
“ポテトサラダ”の味の評価は「ポテトサラダに近くて美味しい」と「塩味がもう少しほしい」と意見が分かれる結果に。しっかりめの味付けがお好みの方には、マヨネーズをプラスしてみてもよさそうです。
見た目の美味しさ断トツTOPは“桜もち”。「キレイな色が日本人好み」と、繊細な桜色の美しさに賛辞が寄せられました。あんの透け感にこだわった八つ橋の評価も高く、フレンチトーストは「焦げ目とシロップがあるとかなり本物に近い」と味とあわせて高評価。
嚥下食は見た目が単調になりがち。いつも見た目が同じだと食欲がわかないため、見た目は重要です。さらに、香りや食感が違うとそれも刺激となって食欲が増すだろうとのご意見は、提供時の参考になります。
病院施設や在宅での活用しやすさの観点で「使いやすさ」を評価。
“ポテトサラダ”の評価ポイントは“栄養価”。じゃがいもスナックにマヨネーズ・牛乳がプラスされているので「少量高エネルギーで食事量の低下した方に使いやすい」と管理栄養士の視点からコメントが寄せられました。
同じく1位の“たぬきごはん”は、「混ぜるだけ」「家にある調味料で作れる」という“手軽さ”が高評価につながりました。天かすを使用しており「エネルギー密度が高い」こともポイントといえるでしょう。
物性・味・見た目・使いやすさ、すべての項目で評価の高かった“フレンチトースト”が総合1位を獲得! 終始盛り上がりを見せていた、そく粥つるりのアレンジレシピ試食会はお開きとなりました。
最後に上羽先生に今回のアレンジメニューについてお話を伺いました。
「お粥をパンにアレンジした“フレンチトースト”には驚きました。シナモンで香りづけをした“八つ橋”など、ここまでできるのか!と思いました。嚥下食は、見た目・味・香り・食感など“五感”に訴えかけることが重要です。患者さんの記憶の中の美味しさを超えられると良いですね。
また、患者さんがご家族と同じメニューを食べられるということも重要です。皆で一緒に美味しいものを食べて、食事を楽しむことは、患者さんのQOL向上につながります。それを我々は目指しています。」
美味しくて、簡単に作れる「そく粥つるり」のアレンジメニュー、ぜひチャレンジしてみてください!