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料理人が手がけるオーダーメイドの嚥下食会席で
食の楽しみをもう一度

琵琶湖に臨む滋賀県東近江。滋賀県の豊かな食材を使った会席料理を、嚥下食で楽しめる日本料理店があるのをご存じですか?そのお店の名前は「日本料理 魚繁大王殿(うおしげだいおうでん)」。味はもちろん見た目や香りも楽しめる嚥下食を、一人ひとりの好みや食形態に合わせてオーダーメイドで提供してくれる注目のお店です。
お客様が感動のあまり泣いてしまうという嚥下食についてお話を聞いてきました。

日本料理 魚繁大王殿うおしげだいおうでん

二代目総料理長
岩崎いわさき まさる

お話を伺った方

お客様の笑顔のために全力を尽くす
オーダーメイドの嚥下食

きっかけはコロナ禍でした。このまま営業していても店はつぶれてしまうかもしれない、それなら思い切って、今自分が料理の中ですごく気になっていること、やりたいことをやってみようと考え、嚥下食に挑戦することに。

嚥下食は人の命に関わる食事ですから、知識習得のため、病院の調理場で実際に働かせてもらいました。20年以上日本料理を作ってきましたが、嚥下食づくりは驚きの連続。ここまで計量するの?とか、すごく薄味だな~とか。そして一番驚いたのは、アレルギー・減塩の有無、ゼリー・ペーストなどの食形態、生もの提供不可のような禁食対応など、とても細かく対応されていることでした。

そんな経験を活かし、当店でも嚥下食の注文を受ける時には、一人ひとりに、主食・副食の食形態、アレルギー、減塩の有無はもちろん、苦手なものや昔好きだった食べものまで細かく聞いて、その方だけのためのメニューをご提供しています。嚥下食を召し上がる方は、「好きな食べ物を食べられなくなった」という方が多いので、好きなものを食べて喜んでもらいたいのです。

この思いをブランド名「嚥下食 叶和とわ」に込めて、食事を楽しんでもらうためにできる限りのことをやりたいと考えています。

一口

きざみ

とろみ

日本料理の技術を活かした
「嚥下食 叶和」のこだわりとは?

嚥下食を調理する上で大切にしているのは、美味しさ、そして食べる前に目や香りでも楽しんでいただくこと。

うな丼なら、うなぎと焦げ目の味のバランスを調え、木の芽をのせて香りを楽しんでいただきます。器をお椀にすると、蓋を開けたとき香りがふわっと香るので、そんなちょっとした工夫もしています。

お寿司なら、加熱によって酢飯のお酢が飛んでしまわないよう入れるタイミングにはこだわっています。寿司ネタには、地元の原木しいたけや赤こんにゃくなど滋賀の食材も取り入れ、成形はバットを使って切りやすい厚さに調整します。

旬の食材をふんだんに使い、できるだけ普通の料理と同じような形で、あしらいで華やかさを演出し提供しています。

そして、嚥下食作りに欠かせないのが、とろみをつけるとろみ材とゼリーを作るゲル化材です。日本料理では、くず粉や片栗粉でとろみをつけるのですが、嚥下食作りにあたって、さまざまなとろみ材・ゲル化材を試し、ソフティアシリーズを選びました。

とろみをつける時はソフティアS、ゼリー状にする時はソフティアUとフル活用しています。どちらも溶けやすいから使いやすく、ソフティアSはとろみがしっかりついて冷めても離水しない。通常の会席料理にも使っていますよ。

もらい泣きで仕事が進まない!
嚥下食にまつわる感動エピソード続々

嚥下食のお弁当や会席料理の注文は、ほぼ毎日入っています。正直、私自身こんなに注文があるとは思っていませんでした。遠方からのお客様も多く、静岡からご家族で来店されたり、高速で2時間半かけて毎月嚥下食弁当を買いに来る方もいらっしゃったり。「ずっと病院にいるから、なかなか季節を感じることができなかったけど、今の時期はこんな食材があるんやな。 」と喜んでいただいているそうです。

ゴールデンウィークには、近隣の施設から40食の嚥下食弁当の注文をいただきました。出かけることはできないから、少しでも外食気分を味わってもらいたいとの要望にお応えするため、食形態、塩分控えめ、生ものはダメなど、すべて対応させていただきました。後日感想を聞くと「怒られた」そうで…。
「『美味しすぎて量が足らん』と怒られたので、次回は8品の弁当を注文します」と嬉しいお言葉をいただきました。

嚥下食弁当で「25年ぶりにうなぎを食べた」という方もいらっしゃって、その場にいたご家族や医療従事者みんなで大喜びしました。そして「今度は家族でお店に」と言ってくださったのが本当に嬉しくて。私の作る嚥下食を通して、前向きになってもらえた。まだまだ「食」でお客様を幸せにできるんだなと実感しました。

今まで日本料理をやってきましたが、お客様が目の前で泣くほど感動してくれたのは、20年以上の料理人人生で初めてのことでした。

嚥下食に関わることで、今の社会には嚥下食を提供するお店が必要なんやと、改めて感じています。

私一人だけで頑張っても全く意味がないので、全国にもっと広げるために、異業種間で協力しあってバリアフリーな社会を実現していきたいですね。みなさんも、一歩踏み出していただけたらなと思います。

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