嚥下食取り組みレポート

嚥下食の最新トピックスや嚥下食作りにおける課題解決のための試みなど、他ではなかなか聞けない取り組み事例をご紹介します!
より良い嚥下食をより簡便に作るヒントを見つけてください!

とろみ自動調理サーバーで得られた費用対効果 神戸白鷺病院(兵庫県神戸市西区)

当院では、この十数年の間に、入院される方の高齢化と入院期間の長期化が進んできました。それに伴い、嚥下食を召し上がる方は病院全体の4割強、飲み物へのとろみ付けについても、病棟によっては半数近くの方が必要とされる状況となっています。

とろみ飲料は、水分補給と服薬のために1日5回提供しています。従来は、厨房から配膳されたお茶を病棟でコップに注ぎ、患者さん一人ひとりの状態に合わせて看護助手が手作業でとろみを付けていました。特にスタッフが少ない朝の時間帯は、離床介助、車いすへの移乗、おむつ交換などの業務が集中する中、とろみ付けに多くの時間を要し、現場の大きな負担となっていました。こうした状況の中、ケアの質を下げずに業務の効率化を図る方法を模索していた時に提案されたのが、とろみ自動調理サーバーでした。
説明を聞き、これは現場の課題解決につながる可能性があると感じ、早速ひとつの病棟にデモ機を設置しました。、ワンボタンで最大2ℓのとろみ飲料を2分もかからずに作れると現場は大絶賛!時間が経過してもとろみ粘度が変わらないことも驚きでしたね。

導入にあたっては、費用対効果を数字で示す必要がありました。事務長から「今までできていたことを、なぜ機械に頼る必要があるのか」という視点で説明を求められることを想定していたからです。「便利」「楽になる」といった感覚的な評価では経営層を動かすことはできません。そこで、とろみ付けにかかる時間の検証をおこないました。
その結果、手作業によるとろみ付けは、1回あたり約23分かかっていたのに対し、とろみ自動調理サーバーでは約8分で完了。1回あたり15分短縮することができました。1日5回とろみ飲料を提供しているため、1日あたり約75分の短縮、年間では約450時間の業務削減が可能となります。これを看護助手の時給で換算すると、年間およそ50万円の人件費削減効果が1病棟だけで見込めることがわかりました。とろみ自動調理サーバーのリース費用を差し引いても年間14万円のプラスになり業務負担軽減にもつながるという試算を要望書にまとめました。
事務長は当初、「今までもできていたのだから不要では?」と半信半疑でしたが、作成した要望書をもとに、実際に現場でデモ機を使用している様子を見てもらい、スタッフの話を直接聞いてもらったことで、時間短縮と業務負担軽減効果を実感してもらうことができ、導入が認められました。

導入から2か月ほど経った頃、事務所から「とろみ材の使用量が減っている」との連絡がありました。なんとこのペースだと年間で約13万円も削減できる見込みとの事。手作業でとろみを付けていた頃は、マニュアル化していたものの、作業者によってとろみ材を入れすぎてしまうケースがありました。それが機械によって均一化され、とろみ材が適正量で使用されるようになったことで、とろみ材のコスト削減につながったのです。この点は、導入前には想定していなかった大きな副次効果でした。

1台目の導入から3年が経過した現在は、他病棟からも要望が相次ぎ、院内で合計3台導入しています。
人件費やとろみ材の費用といったコスト面でのメリットだけでなく、粘度が安定化したとろみ飲料を提供できるようになったことで、誤嚥のリスク低減にもつながっており、安全面からも導入してよかったと実感しています。

医療現場の人手不足は、今後さらに深刻化することが予想されています。当院でも外国人スタッフの登用を進めていますが、言語の壁や医療用語の習得には時間を要します。その点、とろみ自動調理サーバーは、自動販売機で飲み物を購入するような感覚で操作ができるため、教育負担の軽減や業務の標準化にも大きく貢献しています。

これからの病院は、ケアの質を守りながら、課題解決に向け新しい道具を取り入れていくことが、これからの病院には必要です。とろみ自動調理サーバーは、業務効率化・人件費削減・材料費削減を同時に実現する、費用対効果の高い設備投資でした。高齢化と人手不足という課題の中で、現場の負担を軽減しながら、コスト面でも効果を発揮する手段として、当院の医療を支えています。

【まとめ】
・とろみ自動調理サーバーの導入により1回あたり約15分、年間約450時間の作業時間を削減し、人件費換算で年間約50万円削減効果が得られた。
・とろみ材の添加量が標準化できたことにより、とろみ材のコストを年13万円削減効果が得られた。
・粘度が安定することで誤嚥リスク低減につながった
・操作が簡単で、外国人スタッフや新人でも対応可能なとろみ自動調理サーバーの導入は、人手不足が深刻化する医療現場を支える有効な手段である。

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