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3つの最新事例にみる、フードテックが照らす食の未来

フードテック(Foodtech)とは何なのか紹介してきた本連載も、5回めとなる今回がいよいよ最終回。今回はこれまでにご紹介できなかった、各分野におけるフードテックの先進的な事例を3つ、ご紹介しましょう。

中に入れるだけで食品の成分を分析できる「カロリエコ」

最初にご紹介するのは、パナソニックが開発中の栄養素チェッカーカロリエコ」(CaloRieco)です。大型の電子レンジのような形状をしたこの製品は、お皿に盛り付けた状態の食品を中に入れることで、カロリーのほか脂質やたんぱく質、炭水化物などの栄養素を瞬間的に計測できるというスグレモノです。

従来であれば、食品のカロリーや成分量などを算出するには、食品ごとに成分表と照らし合わせて分量を計算していくしかなく、時間や手間がかかりました。加えて、成分表にのっていない食品については、正確なカロリーを知ることすら困難でした。 

しかしこの「カロリエコ」なら、食品を入れるだけで直接成分を読み取ってくれるので、例えオリジナルの料理であっても、すばやくカロリーなどの情報を知ることができます。介護食など、一人ひとりに合わせて調理している場合でも、これならば手間もかからないというわけです。

食品を入れるだけで成分を読み取れる秘訣は、近赤外光にあります。食品に近赤外光を照射し、跳ね返ってきた光量をセンサーで読み取ることで、吸収された光量をもとに成分を分析できるのです。果物の糖度測定にも使われている近赤外光を用いることから、安全性、正確性も高いことが特徴の「カロリエコ」。いまはまだ試作段階とのことですが、早いタイミングでの実用化が待望されます。

減塩に劇的な効果を発揮する「ソルトチップ」

次に紹介するのは、「ソルトチップ」と名付けられた、“減塩チップ”なるアイテムです。名前からも分かるように塩(ソルト)でできたチップ(小さなかけら)ですが、なぜこれが減塩に役立つのでしょうか。

 普段、私達が食事をしていて「塩辛い」と感じるのは、舌に触れた部分に塩分が含まれているからですが、舌に触れない部分にも塩分はもちろん含まれており、それらはそのまま食道を通過して胃の中へと入ってしまいます。つまり私達は、味覚とはあまり関係がない塩分もせっせと摂取していることになります。

 ここで登場するのが「ソルトチップ」です。これは数ミリ程度の塩のチップで、食事の際に下の歯の裏側に貼りつけて使用します。つまり塩味を常時感じる状態になるわけですが、これによって、摂取するのがいわゆる減塩食であっても、十分な塩味を感じられるようになります。数分ほどで溶けてなくなるチップに含まれる塩分は0.1g以下なので、圧倒的な減塩を実現できるというわけです。

 現時点(2018年6月末)ではまだ特許出願中であり、市販の段階には至っていないようですが、将来的にはこの「ソルトチップ」と組み合わせて食べるのに最適なおかずのレシピなども提供することを想定しているとのこと。塩分の摂取量が制限されている患者にとっては、大きな魅力といえます。1枚の単価が20円程度と、コストパフォーマンスが良いのも魅力です。

無人運転による買い物代行サービス「ロボネコヤマト」

最後に紹介するのは、物流におけるフードテックの事例です。最近まで、これこそまさに次世代物流といえる実証実験が、神奈川県藤沢市の一部地域で行われていたのはご存知でしょうか。ディー・エヌ・エー(DeNA)とヤマト運輸による、自動運転車を使った物流サービスプロジェクト「ロボネコヤマト」がそれです。

これは、車内に保管ボックスを設置した専用EV車両を用いて、買物代行サービスによって注文した食材を指定した場所で受け取れるサービスです。宅配便とは異なり、複数のお店に注文した食材をまとめて受け取れるほか、10分刻みで日時を指定できるといった特徴がありますが、最大のポイントは、このサービスが無人車両を使った自動運転によって行われることにあります。 

指定した場所に現れるのは食材を積んだ無人車両で、利用者は荷台に備え付けられたコインロッカーのような保管ボックスをスマートフォンの二次元コードで解錠し、食材を受け取ります。今回はあくまで実証実験ということで、当初はドライバーによる有人運転が行われていましたが、実証実験期間の後半にはごく狭いエリア内とはいえ、実際にドライバー不在での配達も行われたということです。 

このサービスが実現すれば、きめ細かな受け取り時間の指定ができる買い物代行サービスとして、遠出をすることが難しい高齢者のニーズにマッチするほか、小さな商店や飲食店でも人手をかけずに出前サービスを提供できるようになります。さらには物流事業者のドライバー不足解消にも一役買うなど、三者三様の利点があるといえます。

「ロボネコヤマト」はあくまでも将来の自動運転を想定した実証実験ですが、地域を限定した食材の宅配サービスはすでにさまざまな事業者が取り組んでおり、ますますの利用範囲の拡充と、サービスの充実が期待されます。

フードテックが照らす食の未来

今回ご紹介した先進的な3つの事例は、今後も引き続き実用化に向けて研究が続けられていくことでしょう。さらにこれらとは別に、現段階では想像もできないような食にまつわるさまざまなアイデアが、具体的な形となって、私達の前に登場してくることが考えられます。 

こうした事例やアイデアは、生産効率の向上や物流の効率化はもちろんのこと、調理のしやすさや食べやすさといった利便性の向上にも貢献するはずです。そして高齢化が加速する日本社会の中で、食を楽しみながら生きるための重要な役割を果たすことが期待されます。

食品(Food)と技術(Technology)を合わせた造語であるフードテック(Foodtech)は、IT技術の進歩とともにますますの発展が見込まれるだけでなく、私達の食の未来を大きく変え、豊かな食生活をサポートするための福音となってくれることでしょう。

 

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