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フードテックが変えるデリバリー

流通に押し寄せるフードテックの波

前回までに、生産や調理などにおけるフードテックの利点を紹介してきましたが、フードテックが活きるシーンとして、もう1つ見逃せないのが流通です。

 インターネットの技術革新によって、食材の流通は大きな変化を遂げています。例えばインターネット経由で申し込む出前サイトのように、作りたての料理を短時間で消費者の手元に届けるビジネスもその1つ。また農家などの生産者が自ら立ち上げたホームページで注文を受け、仲介業者などを通さず消費者に直接、野菜や魚などを産地直送する販売方法もこれに含まれます。

 フードテックでは、これらを包括する形で、デリバリーサービスがさらに普及すると予想されます。例えば高齢者宅への調理済み食品の配送は、サービスとしてすでに実現しています。また前回紹介したロボットによる調理では、必要な食材のオーダーは、オンラインでほぼ自動的に行われることでしょう。

さらに海外では、一般家庭を対象とした買い物代行などのサービスも普及しつつあります。日本でも、都市部はもちろんのこと過疎化が進む地方などでは、こうした事例がこれから続々と登場するに違いありません。ドローンを用いた無人配送も、すでに現実的なものになりつつあります。

外食産業にとってのフードテック

外食産業でも、フードテックの浸透は目覚ましいものがあります。すでに進みつつある事例としては、飲食店のオンライン予約システムや、それと連動しての顧客分析、さらには1日の食品廃棄量のチェックによる仕入れの最適化などが挙げられます。

 中でもオンライン予約は、これまで電話やFAXといったアナログなツールを用い、調理や接客の合間を縫って行っていたものが、対応に人手を割かずに済むようになり、かつ席の埋まり状況を自動的にチェックできるなど、その恩恵は計り知れません。これこそ情報通信技術が外食産業に効率化をもたらした、典型的な事例と言えます。

 仕入れの最適化については、一般の消費者にはあまりピンと来ないかもしれませんが、飲食店にとっては収益に直接関わる問題であり、取り組むのが早期であればあるほど長い目で見ると経営に影響をもたらします。おそらく近い将来には、これらにいち早く取り組んだ飲食店とそうでない飲食店とで、利益率に目に見えて差が出てくることでしょう。

バーチャルリアリティによる“仮想料理”でダイエット

最後に流通からはやや離れますが、ICTを活用した海外でのフードテックのユニークな事例を紹介しましょう。

 それは、バーチャルリアリティ(VR)技術によって五感をうまく騙し、料理を食べたつもりになることで満腹感を得るというもので、“仮想料理”とでも呼ぶべきかもしれません。米Kokiri Labの「Project Nourished」という取り組みがそれです。

 利用者はまず、VRゴーグルを装着した状態でテーブルに着きます。ほどなくして料理が運ばれてきますが、利用者が見ている料理はVRゴーグルによって作られた精巧なCGで、実際に食べるのはほとんどカロリーのない海藻ベースの食品です。さらにフォークで料理を刺したりする手触りはVRグローブによる疑似感覚で、料理の香りも噴霧器によって人工的に生成されたもの。噛んでいる際の咀嚼音までVRデバイスで再現するというから驚きです。つまり、本人は豪華な料理を食べているつもりなのに、実際には食べていないのです。

 こうして五感を騙すことにより、無理なくダイエットができるだけでなく、アレルギーや糖尿病などで食事を制限されている人も体に悪影響をおよぼさずに好みの料理を食べられるようになります。さらに、料理を噛んだり飲み込んだりするのが難しい高齢者のストレスを軽減できるという利点もあります。

 かなり突拍子もない取り組みに見えますが、フードテックは生産や流通、調理といった広い範囲はもちろんのこと、この事例のように食事の概念を覆しかねないところにまで広がりつつあります。また海外ではすでに、こうしたフードテック専門の企業が多数登場しています。

日本でも今後、日本の実情に根ざしたフードテックのビジネスが続々と登場し、私達の生活を豊かにしてくれるのは間違いありません。

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